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東京地方裁判所 平成9年(ワ)26585号 判決

原告代理人

三輪拓也

事実及び理由

原告

訴状陳述

証拠関係別紙のとおり

裁判長

一弁論終結

二別紙の主文及び理由の要旨を告げて判決言渡し

(裁判長裁判官 髙部眞規子 裁判官 榎戸道也 裁判官 中平健 裁判所書記官 久保田寿彦)

(別紙)

一 当事者の表示

大阪府大阪市中央区北浜四丁目五番三三号

原告 住友商事株式会社

右代表者代表取締役 宮原賢次

右訴訟代理人弁護士 吉原省三

同 小松勉

同 松本操

同 三輪拓也

東京都港区南青山三丁目一番地

被告 住友タスクフォース株式会社

右代表者代表取締役 古河篤

二 主文

1、 被告は、その営業上の施設または活動に、「住友タスクフォース株式会社」その他の「住友」という文字を含む商号、標章または別紙(1)(2)記載のマークを使用してはならない。

2、 被告は、「住友タスクフォース株式会社」その他の「住友」という文字を含む標章及び別紙(1)(2)記載のマークを、看板・印章・印刷物その他の営業表示物件から抹消せよ。

3、 被告は、「住友タスクフォース株式会社」という商号登記の抹消登記手続をせよ。

4、 訴訟費用は被告の負担とする。

5、 この判決は、第一項及び第二項に限り、仮に執行することができる。

三 請求の原因

別紙請求の原因記載のとおり

四 理由の要旨

被告は本件口頭弁論期日に出頭せず、答弁書その他の準備書面を提出しない。したがって、被告において請求原因事実を明らかに争わないものとして、これを自白したものとみなす。

以上

別紙

<省略>

別紙

請求の原因

第一、 当事者

一、 原告は、「住友」系事業会社からなるグループに属する株式会社であり、鉄鋼・非鉄金属・それらの製品及び鉱石その他の鉱産物、機械・器具・工具・鉄砲類・車両・船舶・航空機及びそれらの部品、食糧・油糧・食品・塩・煙草及び酒類その他の飲料等の輸出入及び販売、不動産の取得・処分・保守・管理及び賃貸借・リースその他の利用並びにそれらの仲介等を業とする総合商社である。

二、 被告は、平成二年二月一五日設立の株式会社であり、当初の商号は「株式会社シンカム」であったが、平成九年四月五日に現商号「住友タスクフォース株式会社」と商号変更したものである。そして、地球環境改善技術の調査・研究・開発、食料品・衣料品の輸出入及び販売、自動車・航空機の輸出入、不動産・有価証券の売買・仲介斡旋業務等を業としている。

第二、 原告商号及びグループ標章としての「住友」標章並びに住友井桁マークの周知・著名性

一1、 原告は、「住友」系事業会社からなるグループに属する株式会社であるが、大正八年一二月に大阪北港株式会社として設立されて住友の土地建物業部門の事業を受け継ぎ、昭和一九年一一月に、株式会社住友ビルディング(大正一二年八月設立)を吸収合併して住友土地工務株式会社となったが、その後、昭和二〇年一一月に日本建設産業株式会社と商号変更し新たに商事部門を設けて総合商社となり、昭和二七年六月に現在の商号に変更して現在に至るものである。

2、 原告は、その設立当初より、住友家の信用と名声を背景に、土地建物業の分野で高い信頼を得て来たものであるが、昭和二〇年一一月の商号変更とともに幅広い商品を扱う総合商社となり、昭和二七年六月以降は「住友商事」の商号で事業活動を行い、超一流の総合商社として高い信頼と実績を築き、住友グループの一員として高い名声を築いてきたものである。

そして、原告は現在資本金一、六九四億二、九一三万五、五五四円、年商一二兆七、一〇六億五、二〇〇万円(平成八年度)、従業員五、八八〇人を抱え、事務所も日本全国に四三店舗を有する、正に日本を代表する総合商社であり、その名を知らない者はいないほどの著名な会社である。

3、 原告を含む住友系事業会社は、住友グループを形成し、古来一貫した住友の事業精神を経営指針として事業活動を行っているが、これに属する会社は原告の他住友銀行等二〇社に及び(その他関係会社も多数存在する)、いずれも各分野において日本を代表する一流企業である。そしてこの中にあって、原告もまた、日本の商社を代表する超一流の企業であり、日本有数の大会社である。

4、 原告を含む住友系事業会社各社は、第二次世界大戦後(昭和二一年頃)の一時期には、財閥解体の影響でその商号中「住友」の表示を冠していなかった時期があるが、その後昭和二七年頃からは各社とも順次「住友」の表示使用を復活させ、原告もまた昭和二七年六月に「住友」の表示を冠する現商号に商号変更している。

5、 従って、原告の商号である「住友」商事株式会社は、右に述べた従前の独自の業績と名声に加えて、「住友」グループの一員であると言うことと相まって、現商号の使用を開始して間もなく、遅くとも昭和三〇年頃には既に日本国内において周知・著名となっていたものである。

二1、 また、「住友」系事業会社からなるグループは、いわゆる住友財閥を母胎とする巨大企業グループである。住友家の創業は一六世紀にさかのぼるが、江戸時代初期ころには既に銅の貿易業者として「住友」の名は日本全国に広く知られるようになっていた。そして、明治維新後は、住友本家を中心に各種事業を分化して企業グループを形成し現在に至っているものであり、第二次世界大戦後の財閥解体(昭和二一年)の一時期を除いては、企業グループ各社はその商号中に「住友」の表示を冠し(各社とも昭和二七年から三〇年ころにかけて、「住友」の使用を復活させている)、グループの一員として、古来一貫した住友の事業精神を経営指針として事業活動を行ってきており、グループとしての「住友」に対する高い信頼と実績を築き上げてきたものである。

2、 その結果、「住友」の標章は、住友グループに属する会社の標章として、相当以前から周知・著名となっていたものであり、前記財閥解体の影響による空白時期はあったものの、昭和二七年ころからは、グループ各社がその商号中に「住友」の標章使用を順次復活させているから、以前の名声と相まって、遅くとも昭和三〇年頃には、「住友」の標章は、住友グループに属する会社であることを示す団体標章として、再び周知・著名となっていたといえる。

三1、 また、住友家は、その創業時の屋号である「泉屋」の泉を象徴するものとして、数百年前から井桁マークを用いており、江戸時代初期頃には、この井桁マークは住友の事業を象徴するものとして、「住友」の名とともに、広く知られるようになっていた。そして、明治時代に入った後は、各事業会社もその営業活動において井桁マークを使用していた。

2、 そして明治三五年には、住友グループを象徴する統一的なマークとして使用すべく、住友グループにおいて、従来の井桁マークの図形に近代的感覚を加味してデザインを施し、その桁の幅・間隔・角度などについて定めて、独自のマークとして別紙1・2記載の「住友井桁マーク」を創作し、「住友」の標章と伴に住友各社が使用してきたものである。

3、 従って、この「住友井桁マーク」は、「住友」標章と同様、遅くとも昭和三〇年頃には、住友グループに属する会社であることを示す団体標章として、既に周知・著名となっていたものというべきである。

第三、 被告の商号等の使用

一、 被告は、平成二年二月一五日設立の資本金三億円の株式会社であり、当初の商号は「株式会社シンカム」であったが、平成九年四月五日に現商号「住友タスクフォース株式会社」と商号変更したものである。

二、 被告の商号と原告の商号とは、その要部はいずれも「住友」であるから、類似していることは明らかである。

三、 また、被告は、その看板・印章等に「住友タスクフォース」の名称を使用しており、その他、会社案内及び代表者等の名刺に「住友タスクフォース」の名称及び別紙1・2記載の「住友井桁マーク」を使用している。

第四、 誤認混同のおそれ

一、 原告は、幅広い商品を扱う総合商社であるから、被告の営業は原告のそれと重なる部分があり、従って被告が原告の商号と類似する商号・標章及び「住友井桁マーク」を使用することにより、被告の営業活動を原告のそれと同一または密接な関係を有するかのごとく誤認混同させる虞が生じている。

二、 また、被告が住友グループの一員であることを示す周知・著名団体標章である「住友」の名称及び「住友井桁マーク」を使用することにより、世人に対して被告が住友グループに属する一員であるかのごとく誤信させる虞がある。

三、 被告の行為は、原告や住友系事業会社が長年に亘って築き上げてきた名声・信用に便乗し、不当に利益を得ようとするものであり、原告や他の住友系事業会社の経済的利益を害する虞を生じさせているばかりでなく、後述の被告の営業活動の形態からして、それは自由競争の限界を逸脱して取引秩序を乱すものであり、不正競争行為に当たると言わざるを得ない。

第五、 請求

よって、原告は被告に対し、不正競争防止法第二条一項一号・二号及び商法第二一条二項に基づき、被告の商号・標章または別紙1・2記載の「住友井桁マーク」の使用禁止と、看板・印章・印刷物等の営業表示物件からの「住友」標章及び「住友井桁マーク」の抹消、並びにその商号の抹消登記手続きを求めるものである。

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